過去記事  2018-02-05

H&Mの批判記事が色々と疑問な件

セールばっかり? 低迷するH&M、その原因を探りに店舗へ行ってみた

・H&Mは2017年の第4四半期、売り上げが過去最低を記録したと報じられている。
・トレンドの最先端にあり続けるべく、サプライチェーンの迅速化を図るファストファッションの競合ZARA(ザラ)やASOS(エイソス)に、H&Mは押されている。
・H&Mに何が起きているのか、Business Insiderは実店舗を訪れてみた。

ファストファッションの雄であるH&Mの不振。決算書を見ると確かに利益の面で結構なマイナスをたたいていますが、売上不振になると急にその企業のビジネスモデル自体を叩き出すメディアって一体なんなんでしょうか。普段から店頭を見ていますとH&Mにも問題は大いにあるんでしょうけど、正しい認識が必要です。疑問な点が散見されましたので1つずつ見ていきます。
◯アメリカでZARAと比較してるけど…
https://www.statista.com/statistics/674434/number-of-zara-stores-worldwide-by-region/
上記は2016年のデータにはなりますが、アメリカのZARAの出店店舗数が記載されています。その数57店舗。それに対してH&Mは400店舗近く出店しています。よく比較される2ブランドですが、アメリカ市場でのトータルの売上高ではかなりの差があります。ZARAが賑わいH&Mが閑散としているというのは日本でも見られる兆候ですが、その側面だけを見て低迷と報じるのはいかがなものかと。この勘違いってメディアだけでなく有識者でもたまに見られるのですが、ZARAやH&Mがどの国でも強い訳ではありません。
外資SPAの落日
小島先生の記事によればZARA JAPANの業績は、

売上高655億9,400万円、売上総利益353億8,300万円(粗利益率53.94%)、営業利益23億7,000万円(営業利益率3.6%)、経常利益27億6,300万円(経常利益率4.2%)と、これまで業界が推定して来た売上より一回り大きいが収益率は全社決算(営業利益率17.6%)とは格差がある。

上記の通り営業利益が4%を切っています。それに対して、
ファーストリテイリング、2017年8月期 連結決算
ユニクロ国内事業は売上8107億円、営業利益が959億円と営業利益率が11.8%。年度が違うのしっかりとした比較にはなりませんが、それでも日本国内ではユニクロがZARAを圧倒している事が予測できます。スペインを除くヨーロッパ各国ではH&Mの店舗数が群を抜いて多いですし、空輸を使うZARAはブラジルやメキシコなど他社が出店しにくい地域でシェアを奪っています。
H&Mグループ、2017年11月期 連結決算 増収を達成するも、値下げ比率の増加もあり減益に
上記データによると直近のH&Mのアメリカにおける年間売上は288億7百万スウェーデンクローナ。(日本円で約4000億円)売上は微増しています。ZARAのアメリカでの売上が見当たらないので推測になりますが、仮に1店舗年間10億円売り上げても600億円程度でしょう。数字だけで見るとまだまだ大きな差があります。(インディテックス全体の北米売上規模で見ると大きな差はありませんが。)
◯サプライチェーンのスピード

ASOSやBoohoo、Misguidedでは構想から販売までに1週間~8週間、ZARAでは5週間だが、H&Mでは最大6カ月を要する。

上記ではサプライチェーンのスピードが比較されていますが、僕が以前読んだ「週刊ダイヤモンド」(2015 6/13発刊)のH&M特集では、デザインから店頭に届くまでのスピードはH&Mでは8週間だと記載があります。(ZARAは最速2週間)※情報ソースはディマンドワークス様の取材との事。
生産スタートしてから6ヶ月はあまりにもリードタイムが長すぎるので企画までを入れての事なんでしょうか。それで言うと影響は無いように感じますし、他社もここはあまり変わらないのでは。CEOの以前のインタビュー記事にも「150人以上のデザイナーが多くの時間をかけて1つ1つの商品を作り上げています。」と回答しています。(ディスプレイがさえないのは否定しません。)
最後にASOSとオンライン売上を比較していますが、ほぼオンライン専業のASOSとH&Mのオンラインの売上を比較するのもまた馬鹿らしいです。H&Mが不振である事を際立たせる為に間違った指標を使っているような印象しかありません。普通に決算の状況を見れば全体的に利益が落ち込んでいるのは明らかですし、既存店売上を維持できていないのでしょう。年間400店舗近い新規出店というスピードですから人材を担保するのも難しいでしょうし。批判するならもうちょっとちゃんとしたエビデンスを見せてほしいものです。
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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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