セールス  2016-03-04

販売員の離職率を下げるたった一つの方法

販売員コンテストや表彰のニュース最近多いですね。前からどこもやっていたんでしょうけど注目度が増しているように思います。

オンワードHDが優秀なスタッフと売り上げ拡大に貢献した商品を表彰

 

ワールドの販売員約1万人の頂点に名古屋パルコ 「タケオキクチ」の岡田崇志さん

 

ユナイテッドアローズ販売員3600人の頂点が決定 接客ロープレ大会「束矢グランプリ」を開催

 

ブランドはもちろんの事、デベロッパーまで。

 

渋谷109が初のロープレ大会

 

どこも販売員の育成に必死な様子が伺えます。しかし、何でこんなに必死なんでしょうか。

 

販売員は慢性的に人手不足

これ、現場にいるとすぐわかります。僕は職業柄、よく人事部の方とお話しする機会が多いのですが、皆様口を揃えて「販売員が欲しい」と仰ります。とある有名服飾専門学校に寄せられる求人の割合では、

 

「その他の職種」:「販売員」=1:10

 

でした。そして、当たり前ですがMDやバイヤー、SVなどの求人は新卒ではゼロです。これ結構学生さんは知らないんですよね。専門学校の営業手法の中でこのあたりの職種ばっかりフォーカスするからです。誇大広告もいいとこです。(高校生の方は入学の際に気をつけてください)

 

街中のアパレル店舗の数を見ればどれだけ販売員が必要かわかりますし、そこに加えて離職率が高いのでアパレル企業はどこも慢性的に人手不足です。ワールドが500店舗閉めるのに未だに販売員のリストラを行わないところからもわかりますね。

 

販売員は労働環境と条件面が悪い

では何故離職率が高いのか?それは労働環境と条件面が問題でしょう。アパレルの給与水準はとっても低いです。ちなみに業種別では…、

 

DODA 平均年収ランキング2015より 

アパレルは主にサービス・小売りに入るでしょう。どちらにせよ最下位を争っています。なので、他業界に転職するインセンティブが生まれます。

こちらは職種別。

 

販売員の給料の低さ…。ここでも際立っておりますな。。

 

そして、デベロッパーによりますが営業時間と営業日。SCやファッションビルは年中無休で営業時間も長いです。お正月やゴールデンウィークに長期休暇は取れません。夜も遅くなりますので、お子さんがいらっしゃる女性の方は辞めていきます。もちろん土日は仕事ですから、他の職業の人たちと休みも合いにくいですしね。この環境の割に給与が少ないと感じる人が多いのでしょう。

 

そしてよく周辺の方々から聞くのは、キャリアプランが見えない。販売員→店長→SV?エリアマネージャー?というあたりでしょうか。しかし、何店舗も統括するSVやエリアマネージャーはそこまで人がいりません。上がつかえていますので、販売員をしている方々はキャリアアップができないと感じようですね。このタイミングで皆さん転職を考えます。

 

販売員の階級制度や本部への異動で離職対策

ではそこに企業側はどう対策しているのか。

①まずは販売員の階級制度。ユナイテッドアローズなんかは「ES制度」というものをしいていて、販売員の階級を細かく区切っています。こうする事によりキャリアプランを可視化し目標を明確にしています。そして優れたパフォーマンスを発揮する販売員には「セールスマスター」という称号を与え、結構な条件を提示されるようです。

 

そして今多いのが、

 

②社内公募制度。これは販売からスタートした従業員が、数年後のキャリアアップとして本社勤務を目指せるというもの。MDやVMD、プレス、人事などなど。応募できる職種はたくさんあります。しかし、これも先述した通り販売員の母数を考えると中々実現できないでしょう。

 

③販売コンテストも、目先の目標設定を販売スキル向上に設定し、販売員の地位向上とそのモチベーションアップにつなげているように思えます。

 

年収アップしか離職を止める方法は無い

これってどれもキャリアアップを目指した施策なんですが、そもそも何故キャリアアップしたいかと言いますと、

 

「給与を上げたいから」

 

しかないです。

そこで、数日前に発表されたクロスカンパニーのニュース。(今はストライプインターナショナルに社名が変更されました。)

 

クロスカンパニーが初任給と基本給を引き上げ 石川社長「業界一の給与水準目指す」

大幅に給与のベースアップをするという内容ですね。これは一番応募者にとって響く内容です。販売技術向上も顧客作りも本部への昇格も何が目的なのかを考えればわかる事です。

 

もちろん福利厚生や労働環境も重要ですが、結局応募者は何を見ているかといいますと働く環境に対して給与がいくらなのか?を見ているのです。なので、ここを上げる事が一番の問題解決ですし、おそらく応募者が急増するでしょう。これを「人件費」としてだけで考えるのではなく、人材獲得コストとして考えればそんなに悪くないとやり方と思います。口だけで「販売員の地位向上」を唱える企業とは一線を画しますし、こういった取り組みをしているのは少ないですね。有名企業では他に「ストゥディオス」や「TSIホールディングス」は公表しています。

 

ファッション業界、販売員の待遇改善へ TSIHDは初任給上げ

「日用品のユニクロ、嗜好品のステュディオスに」上場を決めた31歳社長の野望

 

アパレル企業側がこの問題を解決すれば、後はデベロッパーの営業時間と営業日の見直しです。ここは今伊勢丹が見直し始めていますし、業界のリーダー企業がこういった取り組みをするのはいい影響だと感じます。販売員協会設立のニュースがありましたが、資格化などしても抜本的な解決にはつながりません。むしろ、その部分が既得権益となり無駄な金儲けの手段になる事を危惧します。

 

労働環境に関しては、改善していっている企業に優秀な人材が集まりやすくなるので、他の企業は追随せざるをえないでしょう。そうなると自浄作用が働き、徐々に良い方向に向かうと予測します。願わくは、協会がデベロッパーに働きかけ残りの問題を解決してほしいです。目先の「人材確保」にとらわれず、中長期的な視点で何故人材不足に陥るのかをよく考えて頂きたく思っております。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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