フルフィルメント  2016-03-21

EC比率向上は中規模モールの追い風にはならない?

The Flagイシュー「突撃!E-コマース調査団#002」

ファッションECモールの先駆けであるマガシークとセレクトスクエアの2社の比較。その出自はどちらも商社であり(マガシークは伊藤忠商事、セレクトスクエアは丸紅)、現在はどちらも他社に買収(マガシークはdocomo、セレクトスクエアは高島屋)されているという似た経緯があります。

 

ファッションECモールは現状ZOZOTOWNの独壇場であり、それに追随するのがAmazonなのかその他のモールなのかといったところでしょうか。細かい点の比較は今回のイシューでもありますので、僕の方ではどこに強みがあるのかにフォーカスしてみたいと思います。

 

 

特徴が無いとマーケティングし辛い

この2社の取り扱いブランドやショップを見てみますと、幅広い層のブランドをセレクトしているのがわかります。今のECの乱立具合を見ていますと、それなりに大きなモールといえど全方位で勝負するのは得策ではないように思います。セレクトスクエアの方がターゲットがやや絞られている感はありますが中途半端。ロコンドのようにアルペンや楽天と組み、ZOZOTOWNやAmazonとは明確に差別化していくというのは一つの正解なんではないでしょうか。シューズに特化したイメージや返品無料の取り組みも今やロコンドの代名詞になっています。Amazonも一定期間は返品無料なんですが、これはロコンドのブランディングのうまさですね。ターゲットを絞ればサービス内容も顧客に合わせて集中させやすく、少なくともその層だけは大手モールには負けないという強みができます。今のままでは他のモールや大手アパレルの自社ECと比較して強みが無い上に、差別化しようにも変に取り扱いブランドの層がごっちゃになっているせいで身動きが取れないように感じます。どこかで痛みを伴って大幅な戦略の変更をしない限りは徐々に売上が吸い取られていくのではないかと…。。

 

店舗を持たないECモールの弱み

日本のファッションEC市場は2020年に2.6兆円規模へ、海外進出の課題も提示~経産省調査

経済産業省は「日本ファッション産業の海外展開戦略に関する調査」の結果を7月16日に公表、日本のファッションEC市場は2013年の1.4兆円(全体の規模に対するEC構成比率は8%)から、2020年には2013年比85.7%増となる2.6兆円(同14%)まで拡大するといった見通しを示した。

 

 ECの市場規模は2013年から2020年にかけて約2倍に膨れ上がると予測されています。しかしアパレル市場規模はほぼ横ばいの状況。日本の人口動態を考えると2020年までは微増微減に留まるでしょう。つまりECの売上はこの国内売上の中から持っていってる訳です。リアル店舗の比重が下がりECの比重が伸びる。という事は既にリアル店舗を持ってる企業は自社ECに送客しやすいので有利です。(越境ECという手段もあるんでしょうが。。)

 

リアル店舗より自社ECの方が運営コストがかからないのですから、各社自社ECの集客を強化するインセンティブが生まれます。そこで出てくるのがオムニチャネル。オムニチャネルはリアル店舗とECの境目を無くし、いつでもどこでもお客が購入できるようにする取り組みです。大手セレクトショップやSPAは自社ECで売れた方が利益率が高いのですから、なるべくそちらに送客したいはず。店頭とのポイント共通化や店頭受け取りなどのオムニチャネルは店舗があるからこそ実現できますし、そうなると自社ECの利便性がますます向上しECモールで買うメリットがどんどん無くなってきます。仮想モールしか持っていないこの2社はそこに弱みがあります。大手が自社ECに力を入れれば入れるほど売上が吸い取られるのは、このような中規模モールなのではないでしょうか。

 

 

ZOZOTOWNは別格

その論理で言いますとZOZOTOWNやAmazonも吸い取られるのか?という事ですが、そこはZOZOTOWNのブランディング、WEARという集客装置(今はそこまでの集客ではありませんがポテンシャルを含め)、ネットワーク外部性、その他様々なサービスをあげればキリが無いですが…。このあたりの強みは中々崩せるものではありません。Amazonも圧倒的なトラフィックとプライム会員の利便性の高さ、マーケットプレイス自体が巨大なモールになっているなどなど…と同様です。このあたりと明確に差別化していかなければECモールは命取りです。

 

そしてこの大手2社の共通にして最大の強みは圧倒的な商品型数にあります。当たり前ですが集客力のあるマーケットならばブランド側も喜んで商品を提供します。そうなると、同じブランドでもモールが違えば型数が違うなんて状況になってきます。試しにEDIFICEで検索しますとセレクトスクエアで870件に対し、ZOZOTOWNでは1558件のヒット…。これでは集客と売上に差がつきブランド側はよりZOZOTOWNを中心に商品を提供していく事になるでしょう。Amazonも「ロングテール」という戦略をとっており商品型数を多く確保する事に重点を置いています。

 

売上の伸び率を見てみますと、

セレクトスクエア 2012年 売上18億円 2015年 売上20億5400万円

マガシーク    2012年 売上97億円 2015年 売上136億円

 

今の所まだ数字は伸びているようですがセレクトスクエアは成長鈍化。

ファッションECサイトの売上とEC化率(2015年 発表)

 

セレクトスクエアは母体が高島屋ですから、店頭を使ったオムニチャネル戦略に取り組んで対策をとっているようですね。マガシークはdocomo傘下ですからウェブ、特にモバイルからの集客はまだ期待できますがどう対策してくるか。大手アパレルの自社EC比率も伸びてきていますので、今後の動向に注目です。

SHARE

  • FacebookFacebook
  • TwitterTwitter
  • Google+Google+
  • LINELINE
深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter
FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

COMMUNICATION

Leave a Comment

SPECIAL 
JOURNALS

BY UP&COMING EDITOR

MORE

CHIEF 
EDITOR’S

BY CHIEF EDITOR

MORE

ランキング