過去記事  2016-03-25

コレクションに関わる事を夢で終わらせない為に

korekusyonnyume
The Flagイシュー「憧れの場、コレクション」(https://theflag.jp/blog/71
学生とコレクションとの関わりについて。

”きらびやかであるコレクションの世界は、学生がファッションの世界を目指さなくなったと言われる今でも学生たちが憧れる大きなイベントと言えるかもしれない。1年に2回訪れる大きなファッションイベントであるファッションウィークにおいて、どうすればコレクション通して”夢”を膨らますことが出来るのであろうか。”
”自分は東京コレクションの一つの側面しか見ていなかったに過ぎないが、総じて学生がコレクションに関わるのは運営でのインターンくらいしかなかったように思われる。”

ここで気になるのは、「学生がコレクションに関わるのは運営でのインターンくらいしかなかったように思われる。」という部分。学生、特にファッションの専門学生がコレクションに関わる事はショーの運営インターンくらいしかないのでしょうか。そして学生がコレクションを通してファッションの世界を目指すにはどうすればいいのでしょうか。
海外の教育機関ではコレクションブランドでのインターンが
現在活躍中のデザイナーの略歴を見ていますと、結構な頻度で学生時代、コレクションブランドでのインターンを経験しています。
感じる服 考える服(山縣良和氏)(https://www.operacity.jp/ag/exh135/j/profile/profile010.html
アレキサンダー・ワン(http://www.vogue.co.jp/tag/designer/alexander-wang
プロエンザ・スクーラー(http://www.vogue.co.jp/tag/designer/proenza-schouler
アレキサンダー・ワンも学生時代にコレクションブランドのインターンを経験していますし、日本でも山縣良和さんは大阪文化服装学院を経てセントマーチン美術大学に留学し、その後アンソフィーバックやジョンガリアーノのアトリエでインターンを経験。その実践が糧となり今があるように思えます。
以前、僕が勤務している学校の一つで、ファッションジャーナリストのミーシャジャネットさんが講演に来られた際、「日本の専門学校(東京文化服装学院)
に来てインターンがほとんど無い事に驚いた」と仰ってました。ミーシャさんはその事を否定的には捉えていませんでしたが、海外と日本で大きく違うのはここだと感じています。海外では既に学生がコレクションと大いに関わっているのです。しかもアシスタントデザイナーとして。
日本でインターンが効果的でない理由
日本の学校の多くはデザイナーに限らずこういった実践的なインターンが少ないです。繊研新聞などで「産学連携」の取り組みなどが取り上げられておりますがそれが実際に身を結んだ実績をあまり聞いた事がありません。内容を見ていてもビジネスの現場に放り込むというより、模擬的にショップを運営したりバイイングさせたりという中途半端なものが目立ちます。教育機関はもっと実践にこだわるべきです。
販売でのお話にはなりますが、とある大手企業のブランドマネージャーとお話した際に、「インターンに良いイメージが無い」と言っておられました。理由は無給のインターンでは学生のモチベーションが上がらずアルバイト雇用した方がしっかり働くとの事。企業側からすればお金が絡んでいる方が学生の生産性が高まり、将来的に人材獲得に繋がりやすいのでアルバイト雇用したいというのが本音です。現在その企業でご活躍されている多くの人材が学生アルバイトから社員登用された方だという実績もあるようです。
ここの事例からわかる事は、多くの学生は「実践」と「報酬」によってモチベーションに大きな変化があるという事。企業側はここを徐々に理解していきていますが、学校側のプッシュが弱すぎます。学内で座学や実習を延々させていても学生のスイッチはオンにはなりにくいですし、現場に出さなければその学生の本当の課題は洗い出されません。
育成よりも経営が重要?
企業側は人材育成と獲得に必死ですが、学校側からすれば育成よりも入学する学生の数の方が大事です。専門学校も商売ですから入学者数が伸びなければ経営は成り立ちません。そして入学者の母数が増えれば売上が上がるだけでなく、それだけ卒業後に活躍する学生の数も増えます。教育の質云々より確率論です。
更に言ってしまうと、就職率なんて何とでも操作できてしまいます。学生が就職を希望しない場合は分母から外したり、販売員でもアルバイトさえ始めていれば
就職にカウントしたり…。学生が卒業後活躍する為に教えるという事を放棄しているように感じる部分もあります。全てのファッション教育機関がこうであるという訳ではありませんが、珍しくもない事例です。
夢で終わらせない為に
これは持論ですが、僕は教育における最も重要な部分はより優秀な人材を育てる事よりも「底上げ」にあると考えています。優秀な人材は自助努力が出来たり、自ら環境を変える力を持っていたりしますが、そうでない多くの学生は環境が全てです。教育機関がその環境を整えてあげる事が本来の役割ですし、その為には現場に出せる最低限の知識やスキルを習得させ積極的に現場に出す事、そして現場は正当な報酬を与える事だと考えております。
そしてブランド側も販売だけでなく生産部門の人材育成にもっと目を向けるべきだと考えます。シャネルやルイ・ヴィトンでは職人の育成を自前でやっています。海外ではデザイナーのインターンを含め、このようにブランド主導で人材育成に取り組んでいるのに、日本では販売部門以外の取り組みがブランド側も希薄に感じます。
学生がコレクションに関わる事、そしてコレクションから夢を見る事を結局「夢のまま」で終わらせない為には、教育機関とブランドとのより強固な協力体制が不可欠ではないでしょうか。そういった体制を整えれるよう微力ながら業界に貢献したいものです。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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