
フルフィルメント 2019-02-10
ECモールとアウトレットの境目がわからない
現実的にはアパレルってZOZOTOWNなくてもいまやセールで販売するのが大半で正価では売れないんですよ https://t.co/BYUdGCBb3L
— Isseki Nagae/永江一石 (@Isseki3) February 10, 2019
永江一石さんご指摘の通り、アパレル業界にはプロパー消化率なる指標が一応ありますが、これが年々下がっていっているように思います。その大きな原因となっているのが「ショッピンセンター」と「ECモール」なんではないかと。で、近年特にひどいのがECモールのセールやクーポンの乱発。もはや「プロパー期間」などあって無いようなものであり、「プロパー消化率」においては、どこからどこまでがプロパーなのか?と混乱してしまいます。ブランド側もそんなECモールの活用法を考える時期に差し掛かっているんではないでしょうか。
ECモールはアウトレットとして活用?
Amazon を「アウトレット」と見なしはじめた大手ブランド
ブランド各社は、顧客に自社のことを知ってもらうにはAmazonでの販売が欠かせないという事実に気づきはじめている。いまのところ、ディスカウント商品を売りさばくためにAmazonを大々的に利用しているブランドは、J.クルーだけだ。だが、ほかのブランドも一部の商品をAmazonで売りはじめている。たとえばナイキ(Nike)は、フットウェア、衣料、およびアクセサリー商品のなかから、「限られた種類のナイキ商品」をAmazonで販売し、その結果を分析したことを2017年に認めている(この件に関して同社にコメントを求めたが、回答は得られていない)。
楽天ブランドアウトレットでは、 楽天市場に出店しているブランド公式店のうち、ファッションやインテリア、キッチン用品、食料品など計59ブランドが参画し、在庫処分品や旧仕様品などのアウトレット商品をより安い価格で販売。また、週替りでピックアップする商品を提供。
そんな状況からか、ブランド側としてはECモールをアウトレットとして活用し出しているような動きを見せています。楽天はアウトレットが新しく開設されるという事ですが、元からもスーパーセールやお買い物マラソンなど、セールやポイント施策で日々割引がある状況。Amazonでも価格の変動は日々起こっていますし、クーポンもちょくちょく発行されたりしています。そこに境目ってあんまり無いなーとは思っていたんですが、やはりブランド側も同様の事を考えていたようで。
プロパー時期に突入したばかりで60%OFFセールしてるファッションECモール
ファッションブランドのLINE公式アカウントを複数フォローしていますが、新シーズンに突入したばかりの時期ですらMAX60%OFFの通知がたくさんやってきます。そのほとんどがファッションECモールなんですが、値引きされてる商品って大体前シーズンの型落ちアイテムばかりです。これってアウトレットと全く一緒ですよね。
こうやってプロパーとセールを混同して売ってるともちろんプロパーが売れなくなります。最近ファッションECモール内で大きく売上を伸ばしてるブランドの特徴って、
・クーポン発行
・在庫過多だからセールで販売強化
・低価格商材
あたりです。某ブランドがZOZOTOWNで急激にランキングが上がったんですが、中の人から聞けば「在庫が多すぎたからセールでバタいた」との事でした。アウトレット的な売り方はするけど、新作が一緒に並んでいる事をお忘れなく…。
「アウトレット」をページで分けたところで…
ストライプデパートメントのように「アウトレットページ」を作成して販売したところで、同じサイト内であればプロパーが売れにくくなるでしょう。在庫を捌きたいのであれば、自社のアウトレット(店頭)に放り込むか、フラッシュセールサイトに卸していく方が安全かと思います。楽天のアウトレットサイトもその役割を今後果たしていきそうですが。
モールが売上に対する料率という条件を続ける限りは、値引きしようがクーポンを発行しようが全てブランド負担なのでモールの利益率は変わりません。そうなると、SKU数増やしてweb広告運用するだけがモール側の売上対策になりやすい。モール側がプロパーでしっかり販売強化しようとするなら、まずは取り組む条件をどうするのか?から手をつけないと問題解決にはならないような気がしています。

WRITER
深地 雅也
株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01
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