ブランド・ビジネス  2019-02-11

アパレルの生産が「中間業者」に依存せざるを得ない理由

少し前に、アパレル企業のほとんどがOEM・ODM企業(商社も含む)にデザインとパターン(型紙)を丸投げしていることを書きましたが、これは罪ばかりではなく、製造側にメリットとして働いた部分もあったのです。この世の中に絶対悪が存在しないことと同様です。自分のブログでも書いていますので良ければこちらも。

 

 洋服のOEM業者は製造加工業者にとっても不可欠な存在に

 

洋服を作るには実にさまざまな工程が必要となります。

 

糸作り(紡績・合繊メーカー)→染色加工→織布・編み(いわゆる生地工場)→整理加工→裁断→縫製→洗い加工(ジーンズ類には不可欠)

 

という具合です。

 

そして、日本の場合、それぞれの工程が別企業によって分業されています。中国や東南アジアの最新鋭工場では一貫生産が多く見られますが、それとても糸作りから整理加工までは一貫体制がありますが、縫製までは手掛けません。ですので、糸から製品化までの一貫ということは現実世界ではあり得ないといえます。

 

そして日本の製造加工業は分業ゆえに、自分の担当する工程には工夫を凝らしますが、それをアパレルブランドに提案したところで、「じゃあ、うちのブランドにそれを取り入れましょう」とはなりません。

 

例えば、染色加工場が画期的な染色技法を編み出したとします。これをアパレルブランドに「画期的な染色技法で、ナンタラ染料を摂氏何度でなんちゃらしたら彩度と明度が10%上がります」なんて提案したところで、アパレルブランドの社員からすると「で?」という返事しかありません。その技術が洋服になったときにどういう効果があるのか想像できないためです。

 

これは糸作りしかり、整理加工しかりです。各工程の新技術が洋服に取り入れられにくいというのが現実なのです。しかし、洋服の製品化までをパッケージングして提案してくれるOEM・ODM企業(商社の製品事業部も含む)があれば、その新技術がアパレルブランドの製品に取り入れられることになります。

 

https://note.mu/halyang/n/nb0db50843a95

洋服になる一つの要素でしかない各工場のそれぞれの技術を誇示したところで、「それらをまとめていくらで売れるの?」という壁にぶち当たります。
技術が高いから高単価なのは理解していますが、それがその顧客の市場にとってその技術と単価が適正かどうかは顧客側が決めます。なのでバランスをとってパッケージングできるOEM/ODMメーカーが重宝されるのです。

 

というのが実情です。

OEM業者が増えすぎたきらいはありますが、現在、アパレル側も製造加工業側もOEM業者が全滅すれば洋服が作れなくなっています。増えすぎたOEM業者を淘汰する必要はありますが、どこぞのブランドのように「中間業者=悪」と見なすのは、よほどの物知らずか極度のポジショントーカーでしかありません。

 

また「BtoB企業には価値なんてない」と放言したどこぞの小規模アパレルの社長もいましたが、そのアパレルブランドで洋服を発売することができるのは、織布工場や縫製工場などのBtoB企業があるからで、勘違いも甚だしいと言わねばなりません。

 

OEMへの過度な依存も問題ですが、OEMを過度に排除することも問題なのです。そのあたりも踏まえて議論を深める必要があります。

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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