ブランド・ビジネス  2019-03-04

産地に守られている小規模ブランド

よく、小規模ブランドが「国内産地を守れ」という主張をしていますが、実際のところ、産地を守るどころか産地に守られているのが彼らなのです。

産地というと生地産地を指すことが多いですが、広義には縫製工場の集積地まで指します。

例えば、生地を2反か3反しか買えない小規模ブランドは、産地に貢献しているどころか産地が貢献してくれているのです。

1反未満の生地しか潰せない小規模ブランドなんて実際のところは、生地工場からすればほとんどボランティア活動に近いのです。

どういうことかというと、織物の場合は経糸が長ければ長いほど生産効率が高まるので、別注生地は最低でも5反から10反くらいないと採算に乗らないのです。

 

 

1反=50メートルです。

 

 

 

某業者が、某生地産地を大手ブランドと結びつけたのですが、その際に入ったオーダーが4万メートルだったといいます。産地全体の活性化を促すには、これくらいの発注量が必要なのです。

 

 

じゃあ、小規模ブランドの少ない反数や、少ない縫製ロットをやってくれている工場はどのようにやっているのでしょうか?

それは大手や中堅の発注の合間・合間に小ロットを差し込むというやり方で工場はハンドリングしています。

大手の1000枚と中堅の500枚の間に、小規模の30枚を差し込んで縫製するというやり方です。

生地にしても同じで大手の100反、中堅の30反の合間に小規模ブランドの3反を差し込んで生産するのです。

工場の規模にもよりますが、少人数でやっている工場なら小規模ブランドの小ロットばかりの積み上げでも暮らせるかもしれませんが、中規模以上になると手間がかかるわりにはロットが小さい小規模ブランドのオーダーばかりでは到底従業員を養っていけないのです。

産地というのはそんな工場の集積ですから、小規模ブランドが産地を守っているのではなく、小規模ブランドの多くは産地に守られているのです。

 

 

 

そして、疲弊しているといわれながら、産地の工場がまだ存続できているのは、多くの場合、現存する工場の社長が資産家であるためです。貯金をたくさん持っているということではなく、広い土地を持っている場合が多いのです。

そしてその土地をマンションや有料駐車場にしたり、その土地に郊外型ショッピングセンターが建てられたりすることで社長には莫大な副収入が入るのです。

例えば、某産地の某名門工場ですが、工場跡地にショッピングセンターが建てられたため、そこからの賃料が年間1億円にもなるということです。実はここの社長は廃業してしまった方が儲かるのです。

 

 

また、某繊維製品工場の現社長のご母堂は、先代社長だった亡夫の残してくれた土地が多数あり、そこはマンションや有料駐車場になっており、そこからの収入は月間4000万円にもなるといいます。年間で4億8000万円です。

現社長が将来、ご母堂からこの資産を相続すれば、工場なんかを運営するよりもはるかに大きな収入を得ることができるのです。

そして現在残っている繊維の製造加工場は資産家である場合が多いのです。

このような構造で産地は成り立っており、その産地に守られているのが小規模ブランドだといえます。

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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