私が服を好きになった理由  2019-03-13

私が服を好きになった理由 #2

今日も仕事を終え、クタクタになって家に帰る。

 

窮屈なネクタイや革靴にも、もう慣れてきたけど家に帰ると全てを脱ぎ捨てたくなるのは、まさかネクタイを締めるような仕事をするなんて想像もつかない人生を送っていたからなのか。

 

そんな事をぼんやり思いながら脱いだ革靴を大好きなスニーカーが並ぶ下駄箱にしまう。脱いだスーツに消臭スプレーを振り、クローゼットを開ける。見慣れているのに…いや、見慣れていく毎に、この瞬間が好きになっていく。

 

クローゼットは昔の自分から今の自分までの全ての好きが詰まった宝箱だから、学生時代に頑張ってムリして買った物から、ファストブランドのセール品まで全てが僕にとっては宝物だ。

 

その宝物の中でも、一本だけ穿く回数が極端に少ないジーンズがある。僕の生涯で一番のお気に入りだ。そのジーンズが無ければ、おそらく僕は高校にも専門学校にも通わなかっただろうし、この世界で仕事もしてなかった。一本のジーンズとの出会いが少年の人生を変えた…って言っちゃうと大袈裟かな?でもホントにそんな話。

 

時は2007年中学時代にさかのぼる。

 

当時、中学一年生だった僕は、漫画や地元の先輩の影響をモロに受け、友人達と夜通し車やバイクで遊び回っていた。あまりにも頭のネジの外れた行動で先輩にすぐに目を付けられ、ボコボコにされるも学習能力の無い僕は16歳くらいまでそんな生活を続ける事になる。

 

家にいる時間が短かった僕は当然、みんなの集まる場所にいる事が多かった。集まるといってもかなりの田舎町、海辺のコンビニのトラックが何十台も停められるようなだだっ広い駐車場や、閉店後の廃れきったショッピングモールでスケボーやBMXで遊んでたり、真っ暗な駅前のパン屋のガラスを鏡代わりにダンスしてたり、その周りではフリースタイルのラップバトルやラバダブが行われていて、ギャラリーがそれを囲んで見ていた。

 

溜まり場になるような家にはCDJや自作のサウンドシステムがあって、今思うと僕の友人はその頃から既にしっかりとした趣味を持っていた。そしてみんなのファッションにはそれぞれのこだわりがあった。

 

”古着との出会い”

 

そんな中一にしてもう既にオシャレに目覚めている友人といる間に、境目がわからない程、ナチュラルに何となくオシャレが好きになってゆく。今はもう潰れてしまった地元の三畳ほどしかない”グリーンランド”という古着屋さんに通うようになり、とにかく友人が着ていたブランドのロゴを探す、見つかったら即買い。

 

この古着屋がほぼ全ての商品が¥390というありえない価格設定のお店であるにも関わらず、STUSSY、element、Levi’s運が良けりゃSupremeやA BATHING APEが手に入る。古着特有のツンとくる臭いとお香の混ざった独特の香り。

 

雑多にハンギングされた店内は、少し薄暗く、奥に座る店主は強面だけど心優しい方だった。ちょっと入りにくい雰囲気なんかも含めて大好きなお店になった。通って行くうちに強面の店主とも仲良くなりブランド名やブランドの歴史など教わった。そして、後に僕の幹となるストリートスタイルが完成する。

 

カーハートのニットキャップ、STUSSYの黒のワールドツアーのTシャツに白のシャドーマンのパーカー、ジーンズはリジッドのEVISUの2501、スニーカーは真っ白のNIKE AIRFORCE1。

 

この頃になると僕のファッションにもこだわりが出てくる。サイズや色の使い方、スニーカーはいかに真っ白のまま履くかにこだわったり、だがそんな僕がドップリとファッションに引き込まれるのはもう少し先、中学三年生の頃、2009年だ。

 

”オシャレ好き”から”服好き”へ

 

この頃になると古着屋”グリーンランド”の店主とはかなり仲良くなっていた。ある日いつものように店内に雑多にハンギングされた洋服を見ている時、店主に「ジーパン洗えよ!汚いなー!」と笑いながら言われた。

 

確かに中一の頃に買ったこのデッドストックのEVISU2501、店主の勧めで糊落としをしてもらって以降、一度も洗っていなかった。濃紺のブットいジーンズがホントカッコよくてほとんど毎日履いてたし裾は切らずに引きずって、地べたに座ったりもしていた為、確かに汚すぎる。

 

でも正直、ジーンズって色が濃くないとカッコ悪いよと店主に伝えると「そのジーパン置いて行け、洗っといてやるから1週間くらいしたら取りにこい」そう言われ穿いて帰る物がいるだろって事で見事にシルバータブのバギーパンツを買わされるのであった(笑)。

 

後日、洗ってもらったジーンズを取りに行くと所々色落ちしていて全体的に少し緑がかったような感じなんか色落ちはしてるけど立体感がある、ノッペリしてなくて…かっこいい!自分の体の動きやクセ全てがジーンズへ映し出され、穿き込む毎に自分の体に馴染み変化する事に衝撃を受け、心の底から感動した。

 

そして店主はそんな僕にジーンズの洗い方や洗濯の頻度の目安なんかを優しく教えてくれた。そこからは店主に教えてもらったレプリカジーンズをとにかく沢山穿いた。制服の下に穿いたり、家の中でも穿いてたり、ジーンズを穿いて寝る事もあった。

 

洗濯の度に少しずつ表情を変え、糊が取れて分厚いんだけど柔らかくなっていくその姿に、心を奪われ、その後もジーンズは僕のファッションには欠かすことの出来ない存在になった。

 

そして、僕を変えてくれた相棒は今もあの時と何も変わらず、大切な仲間としてクローゼットに眠っている。

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左内竜也
WRITER

ラグジュアリーブランド、レザーバッグなどの販売経験を経て現在、販売・営業・ライターと幅広く活動中。ストリート・スニーカー関連に精通しており、若者のフィルターを通してファッションを伝えていきます。

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