ブランド・ビジネス  2019-03-18

ユニクロを憎みながらも後追いし続けるツンデレ体質のアパレル業界

極論を言うと、自社と競合相手の相違点を余すところなく、個人的願望を含まずに比較対象できれば、マーケティング理論は要らないくらいではないかと思っています。

現在、国内アパレルの最大の勝ち組はユニクロです。

どんなにユニクロ嫌いでもこれは認めざるを得ません。

アパレル業界人には病的なユニクロ嫌いが多数います。

いろいろな職種にユニクロ嫌いはいます。

例えばデザイナー、経営者、販売員、スタイリストとかなり幅広く存在します。

ユニクロ嫌いの経営者は数多くいますが、不思議なことに、彼らはなぜかユニクロの後追いをしたがるのです。

嫌いなブランドの後追いをしたいという心理はまったく理解ができません。(笑)

 

そんな経営者、メディア、コンサルタントなどは勝ち組であるユニクロを完全コピーすれば、自社もユニクロと同じ勝ち組になれると考えている節があります。

商品面での後追いは枚挙にいとまがありません。

例えば、98年に大ブームとなった1900円フリース。

これを後追いしたのがイオンやイトーヨーカドーなどの大手スーパーマーケットです。少し遅れてユニクロと同じ価格でフリースを発売しましたが、もちろんユニクロほどは売れませんでした。

このあと、大手スーパーマーケットは毎シーズンユニクロの後追いばかりするようになります。どんだけユニクロ好きやねん(笑)!

保温肌着もウルトラライトダウンも後追いしました。

結果は惨敗です。

商品だけを真似ても、販売力や店舗数など、異なる要素をまったく無視していたからです。

 

商品の後追いは、スーパーマーケットだけではありません。いわゆる百貨店向け大手アパレルも口ではユニクロを罵りながら、なぜか商品を後追いするのです。お前らツンデレかよwwww

例えば、98年の1900円フリースブームのとき、フランドルやらファイブフォックスやらは追随して、1000~2000円高いフリースブルゾンを発売しました。

しかし、販路も顧客層も販売員も、商品デザインも違うのです。どうして同じくらい売れると思うのか不思議でなりません。

また、2008年ごろ、オンワード樫山の部長級の人が、生地メーカーに「ユニクロと同じあの素材を売ってくれ」と飛び込んできたそうですが、同じ生地を使っても、商品デザインも違うし、店頭販売価格も顧客層も販路もすべて異なります。

ユニクロと同じ数量が売れるはずもありません。

どうしてこんな簡単な理屈がわからないのか理解に苦しみます。

 

商品の後追いだけならまだ笑い話で済みますが、最近では仕組みそのものをコピーしようとするアパレル経営者やコンサルタントが業界にはびこっていて、頭を抱えたくなります。

ユニクロも、同じファーストリテイリングのジーユーも基本的に商品の供給システムは同じで、大量生産による積み上げとそれの売り減らしです。

期中追加生産はほとんどありません。

期初に大量に生産することで、1枚当たりの生産コストを極限まで下げて安値で販売するというビジネスモデルです。

しかし、それはユニクロ、ジーユーの店舗数とコスパの良さによる販売力があってこそ成り立つビジネスモデルです。

例えば、売上高100億円~200億円規模の百貨店内にテナント出店しているようなブランドがこれを真似るとどういうことになるかというと、過剰生産による在庫過多に陥ってしまいます。

店舗数も販売力も顧客層も販路もすべてが違うのです。ユニクロ、ジーユーと同じように売れるはずがありません。

こんなことは小学生でもわかる理屈です。

 

先ごろ発表された三陽商会の決算では、在庫が24億円も増えていました。決算書だけから在庫内容はわかりませんが、業界内で聞きまわるとこんなうわさを耳にしました。

「ジーユー出身の人が入って、ジーユー方式で数量を作り込んで積み上げたから」

だと。

もし、このうわさが事実だとすると、それを採用した三陽商会の経営陣はちょっとアレすぎると言わねばなりません。

ジーユーと三陽商会は、店舗数も顧客層も商品の価格帯も販売力もすべてが異なります。生産システムだけジーユーを真似ても同じように売れるはずがありません。そしてそんな簡単なことさえ理解できない経営陣には暗澹たる思いにさせられます。

しかし、そんなアパレルは業界には掃いて捨てるほどあります。

まるで、自分の容姿を顧みずにキムタクや小栗旬と同じ服装や髪型をする人と同じです。

 

彼我の実力差を計測できないような人が各企業の経営の舵取りをしているのです。

ですから、アパレル業界は斜陽産業だといわれるのです。

 

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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