ブランド・ビジネス  2016-05-19

セレクトショップが持つ「付加価値」という軸で競合他社を考えてみた

【差別化するセレクトショップ。鍵はコミュニティ?それともオリジナル商品?】

まず本題とはずれますが、「ファッション業界のマーケットは縮小しているけど」という一文。僕の考えではそもそも、「マーケットは縮小していない」です。いつも不思議に思うのですが、「ファッション業界のマーケットが縮小している」という認識はどこからくるのでしょうか。

(株式会社 矢野経済研究所 国内アパレル市場に関する調査結果2015より)

こちらの資料ではここ5、6年ではほとんど横ばいかもしくは微増。もっと遡れば減少はしておりますがマーケットがグローバル化している中で国内市場だけに目を向ける事自体が疑問です。以前ブログにも書きましたが、

 

業界再編が活性化の鍵

 

アパレル上位の企業の年商規模は10年前と比較して増加しています。これは特定の勝ち組企業の寡占化が進んでいるという事ではないでしょうか。このあたりの状況を見ますと「マーケットの縮小」という前提はまず間違いだと推測します。しかし、人口動態を考えると国内市場は恐らく頭打ち。国内での大手とのシェア争いは非常に厳しい戦いになるでしょうから、今後は海外に目を向けていかないと厳しいでしょう。そこでも大手が先手を打っていますが…。

 

「差別化」と「採算」が問題?アーバンもベイクルーズも本質的にはSPA

では本題ですが二社のお話を見ていきますと、

<アーバンリサーチ>

仕入れ(セレクト)商品そのもので差別化を図るのが難しくなったいま、オリジナル商品の役割は、まとめサイトを、差別化するもの。そのまとめサイトが良いかのを明確にするためのオリジナル商品と捉えています。

 

<ベイクルーズ>

「うちは、商品の開発に尽力すべきだと考えています。仕入れ(セレクト)商品の3割の部分で同じになってしまうのであれば、オリジナル商品に優位性を出していくべきだと思っています。クリエーター主導での開発といいますか、これからは、単純なオリジナルではなく、海外のデザイナーとタッグを組んで生産を我々が受け持つといったような、外部の方の力を
借りたオリジナルの開発という1軸と、社内の開発力を高めていくという軸の2つを進めて行きたいと考えております。OEM先から提案された素材を見て、製品に落とし込むという作業は他の企業も同じことをしているので、差別化が出来ないんですね。そのために開発の部隊が自ら最先端のトレンドを掴むことや開発の現場に出向いて、差別化する動きをしていきたいです。

 

上記の戦略には全く同意です。

アーバンリサーチもベイクルーズも本質的にはSPAだと捉えています。一般的に言われている「セレクトショップ」は大手チェーンではほぼ存在せず売上や利益の大部分はオリジナル商品でしょう。
国産ブランド買い付けの掛率は詳しくは知りませんが、僕が以前従事していたインポートブランドの掛率は最安値で50%。つまり下代が定価の50%なのですから、SPAの原価率の水準と比較して非常に高い。プロパー消化率が通常50〜60%と言われているアパレル市場において、この下代では普通にセレクトのみでは「採算」が取れる訳がないのです。そして記載されている通り仕入れブランドは究極は「差別化」ができません。

 

三越伊勢丹HD、SPA化の推進で「新たな店舗モデル」へ

 

百貨店ですらSPAを始めてきてますし、雑誌社も今やオリジナルブランドを開発しています。これは本来セレクトが持っていた「キュレーション」の付加価値だけでは不十分であり、「オリジナル」の付加価値が差別化において最も重要だという事を意味します。

 

「キュレーション」と「オリジナル」から浮かび上がる競合他社

この「差別化」と「採算」において、今後も多くのセレクトショップが垂直統合モデルに収斂していくでしょう。元々大手は独自ブランドを開発はしていたでしょうが、ODMの比率もそこそこあったはず。そして先程も挙げましたが独自ブランドはセレクトショップだけではなく、雑誌などの「メディア」、百貨店を含む「デベロッパー」、そして「ECモール」、事例は少ないですが「ソーシャルメディア」なども開発している訳です。

 

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スタートトゥデイが自社ブランド立ち上げへ ZOZOで販売

 

2016年春夏ファッションウィークで見つけたデジタルテクノロジー×ファッション(ファッションテック)のトレンドをおさらい!-「Tumblr(タンブラー)」がアパレルをスタート-

 

今までキュレーションの役割を果たしていた事業者がブランド化していく。その中で、より集客力のある事業者が今後の勝ち組になっていくのではないかと推測しています。セレクトショップは今後、これらの事業者とも競合していく事になるでしょう。

 

「いくつものセレクトショップがある中でどう差別化していくか。」

 

というセレクトショップ限定の狭い視野ではなく、同じ「キュレーション」と「オリジナル」という付加価値を持つ事業者全体で考えなければシェアを奪われる事になりかねないですね。。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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