店舗マネジメント  2019-03-11

卸メインの企業が小売店を運営するとどうなるか

「アメリカンラグシー」が日本で復活 伊藤忠と提携 コロネットが運営

「アメリカンラグシー(AMERICAN RAG CIE)」が日本に復活する。1984年に創業し、85年にラ・ブレア通りにストアを構えたロサンゼルス発のライフスタイル提案型セレクトショップで、マーク・ワーツ(Mark Werts)創業者兼CEOが率いる米インダストリーワーツ社と伊藤忠商事が9月1日に日本におけるマスターライセンシー契約を、コロネットが独占のサブライセンシー契約を締結。9月から再始動に向けて準備を開始し、10月からEC先行で事業を行っていた。

 

先日、事業終了が報じられたアメリカンラグシーがまさかの復活。(えらい早いな…)以前はサザビーリーグが運営していたのですが、伊藤忠がマスターライセンシー契約、つまり日本企画でやるようですね。それを傘下企業のコロネットが運営するって流れでしょうか。これ、申し訳ないのですが全然売れる気がしないです。

 

 

○コロネットとは?

コロネットはいわゆる「インポーター」と呼ばれるアパレル商社で、海外ブランドの独占販売権を取得して、国内での卸と小売を代理で行う企業です。(この場合、販売権は親会社の伊藤忠になります。)コロネットは僕の古巣と業態が似ていますし、競合だった為に中の人もよく知ってました。なのでビジネスモデルがよくわかるのですが、基本的にメインは卸の会社です。つまり、小売店にブランドを卸すとい業態ですね。この業態が小売店を運営するとどうなるかって事なんですがまず、、、

 

<社内に営業しかいない問題>

卸メインの会社な訳ですから、セレクトショップに営業をかけるのは得意でも、小売店となると全くノウハウが違ってきます。結果、

 

・MD・VMD設計が無い
・販促企画が杜撰
・販売員教育ができない

 

という問題が出てきます。アメリカンラグシーはセレクトなんで、バイイングも必要になりますが誰が担当するんでしょうかね…。で、これらが及ぼす弊害ですが、

 

 

・MD・VMD設計が無い

これが無いと毎月店頭は何を指標に商品を展開したらいいのかわかりません。結果、入荷した商品をとりあえず本部は店頭に送ります。で、店頭では送られてきた商品をとりあえず店長の感覚でレイアウトします。結果、店ごとにバラバラの見せ方になります。インポート物であるなら本国のMDがあるのでそれに習えばいいのですが、外人はめっちゃ適当なのでMDがあったとしても入荷時期がそれ通りにならないケースも多々あります。夏が通り過ぎたのにTシャツ送られてきたり、11月くらいにやっとアウター入荷したりっていう思い出もありますな。。

 

 

・販促企画が杜撰

一応、社内にプレス担当者はいたりするもんなんですが、MD設計が無いので年間の計画と販促が連動しません。すると何が起こるのか?と言いますと、せっかく販促かけた商品が店頭に在庫が無かったりなんてことも発生。(本当に起こります。)雑誌社が「これ掲載したい」という製品に関しては、販促費無しで雑誌に掲載してもらえることもあるのですが、プレスとMDが連動しないと、掲載商品が全国にほぼ在庫無し、、なんてことも。

 

 

・販売員教育ができない

これは実際にコロネットの部長さんから直接言われました。「販売員教育ができないから中途採用するしかない」と言っておられましたが、これも卸メインの会社では珍しくありません。結果、起こってくるのは店長次第で店の出来不出来に差がつきすぎます。辞めたい販売員は続出しますし(SPAやセレクトでも変わらんかもですが。。)、とにかく下が育たない。で、先ほどのMD不在と話は繋がるのですが、店頭の品揃えは店長がオーダーすることになります。店頭がオーダーするのを「ショップオーダー」、MD・本部がオーダーするのを「セントラルオーダー(バイイング)」と言ったりします。ユニクロなんかはこれを半々でやってますね。もちろん店頭の人間が売れる商品がわかってるという理屈もあるのですが、ショップオーダーは顧客に寄りやすくブランドの世界観が崩れやすいという危険性を孕みます。

 

と、ざっくりと問題点を書いてみました。やはり小売店は長年培ってきたノウハウがあるので、卸業者が急に小売始めたところで真似できないのが現状です。(長年やってても一向に改善されませんが…)結局はブランド力に頼らざるを得ないので、セレクトという形態のアメリカンラグシーの運営は更に困難を極める事でしょう。優秀なバイヤーくらい雇わないとすぐ死ぬ案件でしょうね。

SHARE

  • FacebookFacebook
  • TwitterTwitter
  • Google+Google+
  • LINELINE
深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter
FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

COMMUNICATION

Leave a Comment

SPECIAL 
JOURNALS

BY UP&COMING EDITOR

MORE

CHIEF 
EDITOR’S

BY CHIEF EDITOR

MORE

ランキング