店舗マネジメント  2019-04-20

今後のファッションビジネスの成功要因を考える②

前回(https://www.style-picks.com/archives/3421)の記事で、大手アパレルメーカーは『エモーション価値』領域におけるサービス展開を目指すことが望ましいと記載致しました。

 

その中で「エモーション」を最近の流行りに言い換えた「エモい」の正体を考えてみたところ「人の温かさ」であるとしました。

 

本日はその続きになります。

 

成長領域であるソリューション価値とエモーション価値。

改めて比べてみた時に切り口の違いが見えてきます。

 

ソリューション価値→商品そもそもに価値を見出している。

エモーション価値→商品に加え、商品に付随する要素にも価値を見出すことが出来る。

 

こんな感じです。

ソリューション価値領域の上位概念は『生活者の問題解決』です。

前回の記事でも述べたように、こちらの筆頭はUNIQLOさんです。

UNIQLOさんを例に取ると、商品の価格や機能といった部分が購買につながっているはずです。

 

「より寒さ対策をしたいからヒートテックを買おう」

「夏に汗ばむのが嫌だからエアリズムを買っておこう」

 

この辺りが絶妙に腹落ちするところです。

つまり、ソリューション価値領域では

「いかに商品に付加価値があるか」が1つの指標になっており、無意識下で論理的購買が働いていると言えます。

 

一方のエモーション価値領域では、上位概念が『こころの感動』であり、「人の温かみ」を感じさせた上で、非論理的購買を狙えば良いわけですから、様々な角度でアプローチができそうです。

 

「てか、非論理的購買ってなんなん?」

 

となった方もいらっしゃるかも知れないので、簡単に。

「非論理的購買=いいなと思ったんで(値段も気にせず)ついつい買ってしまいました。」

と言うやつです。

 

恐らく、経験があると思います。

ここで『エモいの三角形』というなんとも言えない名称ですが、非論理的購買を狙うに当たって、ファッションビジネスにおける目指すべき3つの要素を挙げました。

クオリティ、オリジナリティ、コミュニケーションの3つになります。

 

要するにこの三角形を大きくすればするほどエモーション価値を最大化できるという考えになります。

つまり3つの要素を意識して商売を展開しなくてはなりません。

 

例えば、マーケットインを飛び越え、所謂『カスタマーイン』という概念が重要視されておりますが、こちらに関しては『オリジナリティ』を最大化するための戦略であり、その他2つの要素にも目を向けることで、さらなるサービスの提供ができそうです。

 

では、これら3つの要素を簡単に見ていきましょう。

 

①クオリティ

圧倒的な背景で作られたもの。自分にとって非常に価値を感じるかどうか。

 

②オリジナリティ

買い手の想いが反映されるような商品であり、特別感を感じさせられるか。

 

③コミュニケーション

作り手の想いがしっかりと伝わっているか。または商品を届ける仕組みが生産背景を可視化できるか。

 

と言った具合になります。

これにのっとった上で、筆者がエモさの極みと捉えているのは『気仙沼ニッティング』という会社が提供しているサービスです。こちらの会社のビジネスモデルは、この三角形の面積を最大化していると考えております。

 

気仙沼ニッティングは、2012年6月にほぼ日イトイ新聞にて震災支援プロジェクトとして始まり、2013年6月に株式会社として独立した会社です。もともと住人たちは土地柄『手編み』に長けた人々がお住まいになられていた(漁師の街であり、漁師の奥様は手編みのニットをご主人様にお渡ししていた)ようです。

 

気仙沼にニッティングには『編み手』さんと呼ばれるニットを編むお姉様方が数名揃っております。消費者は編み手さんを指名し、糸の色や種類、そしてデザインを指定したのち自分の身体にあったサイズ感でニットを編んでもらうのです。もちろんそれなりの時間と費用は要しますが、オリジナルで世界に一つしかないニットの出来上がりとなるわけです。しかも、製作の途中では、編み手さんと注文した顧客との間で手紙のやり取りが行われるなど、随時進捗が把握できるだけでなく「温かさ」を感じられる設計になっております。

 

分けて考えてみると

クオリティ・・・ニットを編む技術

オリジナリティ・・・顧客に応じたデザインのニット

コミュニケーション・・・製作段階でのやりとり

 

となります。

このビジネスモデルこそ究極の『カスタマーイン』であり『エモさ』の象徴であると個人的には捉えています。

 

そのほか、別の業態にはなりますが『クラウドファンディング』と言うサービスも要素分解していくと同じような形で帰結するように考えます。

 

ということで、大手アパレルメーカーも、簡単に言えば「気仙沼ニッティングと同じようなビジネスモデルを敷けば良いんですよ」と言いたいところですが、企業規模や生産体制、流通など様々な概念があり仕組み化が難しいどころか、はっきり言って再現性がありません。

 

このビジネスモデルを標準化するのも、それはそれで危険です。ではどのように展開していくのかということになりますが、そのあたりは次回の記事にて記載したいと思います。

 

答えはかなり簡単(?)なところにあるのかも知れません。お読みいただきましてありがとうございました。

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高木智史
WRITER

株式会社アスナロ Founder / 執行役員。前職では大手アパレル企業に勤務し複数店舗のマネジメントやマーケティングを行う。アパレル企業の企画相談や戦略立案を行う傍ら、HR領域の営業にも関与する。

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