ブランド・ビジネス  2019-07-01

割引き分をどんな項目で計上するかはブランドの都合でしかない 消費者の目にはどれも同じ「値引き販売」に見えている

上陸してから10年くらいになりますが、当方は先日初めてH&Mで服を買いました。

派手な花柄のTシャツと長袖シャツです。今度は半袖のアロハみたいな開襟シャツを買おうと思っています。

で、その際、H&Mのアプリをダウンロードしました。

 

H&Mで買い物をするのも初めてなら、アプリをダウンロードするのも初めてです。

そのアプリにはこんなクーポンが付いていました。

 

・初回10%オフ

・メンバー10%オフ

 

 

「H&Mの初回割引クーポン画像」

 

 

 

という2種類でいずれも使用期限が決まっています。

で、買うとポイントが貯まってそのポイントがまた一定額を越えると、買い物で使えます。ジーユーも同じですね。

ジーユーは100ポイント貯まると100円割引クーポンに変えられますし、300ポイント貯まると300円割引クーポンに変えられます。

 

で、H&Mのアプリシステムを見て改めて感じたことですが、今のご時世において、洋服を定価で買っている人はほとんどいないということです。

H&Mの定価は安いことは知られています。ユニクロよりも安いくらいで、ジーユーとは一部同等でそれ以外はやや高いくらいです。

普通に働いていれば、月に2枚~3枚は定価で買えると思います。

 

しかし、そんなジーユーでもポイントが貯まれば100円引き、300円引きですし、H&Mは2種類の10%オフクーポンと、ポイントが貯まればそれも割引に使えます。

 

定価1299円のシャツを1169円で買うことができます。

 

これらのアプリに限らず、ネット通販モールも毎日のように各ブランドから割引クーポン券が発行されていますし、楽天だと4か月に一度、大幅値引きの「楽天スーパーセール」が開催されますし、Amazonだとタイムセールが毎月のように開催されています。

 

店頭でもストライプインターナショナルお得意のタイムセールもあれば、ユニクロやジーユーのように期間限定割引があります。またSPAブランドは常に店内にセールコーナーがあります。

こうなると、定価で服を買っている人を探す方が難しくなります。

 

通常の店頭のバーゲンセールだと、それは粗利益を削って販売価格を下げます。ですが、これらの割引クーポン発行やタイムセールなどは「販管費」に計上するブランドが多くあります。

 

 

ですから、これらの割引で売れた物をブランド側は「プロパー(定価)販売」だとカウントするのです。それでこれらが売れれば「プロパー比率が上がった」と喜ぶ場合が多いのですが、消費者の目から見ればどうでしょうか?割引の原資が販管費だろうが、粗利益だろうが、どちらでも同じことです。消費者からすれば「どちらも割り引いている」「どちらも安売りしている」ということにしかなりません。

 

通常のバーゲンでの値引きや見切り品の値引きは営業利益の増減に反映されてますが、ネットやアプリのクーポン値引きなどはそこに含まれずに販管費に含まれる企業が多くあります。

毎日のように割引クーポンを乱発し、アプリに10%オフチケットを毎回添付するような売り方が果たして「プロパー販売」と呼べるのでしょうか?

 

 

逆に決算を公開しているアパレルでは今後、販管費の増減を見ることが重要になってくるといえます。店頭で値引きせずに頑張れば営業利益は悪化しません。そしてネットで割引クーポンをばらまけば、販管費が増大します。一見すると営業利益は悪化していませんが、その分、販管費が増大するということになります。

 

ですから、決算発表で「営業利益は好転したものの、販管費が激増したことで最終利益は悪化した」という場合、ネットやアプリで割引クーポンをばらまいた可能性があるといえます。

決算書で営業利益を悪化させない巧妙な手段だといえます。

 

とはいえ、話を戻すと、業界平均で定価販売比率は4割くらいだと言われていますが、販管費から値引きしているクーポン割引やタイムセールなどを加えると、定価販売比率は3割前後ではないかと推測されます。

そういう状況下で、「安売りは悪だ」「安く買う奴が悪だ」とサヨク活動家のスローガンのように叫んだところで何の効果があるでしょうか。

どうやれば定価で売れるのか、定価で売れる数量はどれくらいなのか、を冷静に考えなくては解決できません。

そうしない限りは洋服の販売価格の低下は永遠に終わりません。

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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