ブランド・ビジネス  2019-07-08

ネット通販の普及が洋服の安売りをさらに加速させている

6月28日から「正式」に今年の夏のバーゲンが始まったわけですが、売る側としては別として、買う側の立場から見たときに、素直に「その通りだ」と頷けるでしょうか?

当方は到底頷けません。なぜなら、常に値下げ品が売り場にあるからです。

ユニクロとジーユーの「期間限定値引き」を除外し、各SPAブランドの「常設セールコーナー」「タイムセール」を除外するとしても、それでも常に値引き品を手に入れることができます。(これだけでも十分にエブリデーロープライスですがww)

それはネット通販です。

ネット通販が普及すればするほど、消費者は値下げ品を常に手に入れることができます。

ゾゾや楽天に代表されるECモールは、集客の手段として「割引クーポン」や「期間限定セール」を連発します。もちろん、小規模なころはそんなことはしませんでしたが、規模が大きくなるとそんな「イシキタカイ系」の消費者だけでは売り上げ規模は賄えなくなります。当然、「イシキヒクイ系」も集めなくてはならなくなります。その手段が「値引き」です。

ECモールは、さまざまなブランドがテナント出店しているという形式になります。いわばイオンモールみたいなものだということです。

一方、自社通販サイトでも値引き品は常に手に入りやすくなっています。

1つは、在庫処分の投げ売りを自社サイトで行うブランドが増えた

からです。

 

実店舗で不良在庫を投げ売りすると店舗のイメージが悪くなるため、避けるブランドが多くあります。また季節や気候にも左右されます。

真夏に売れ残りのダウンジャケットを店舗で投げ売りしてもあまり効果的ではありません。また売り場の面積がもったいないということもあります。

しかし、ECだとそこに画像を貼り付けて置くだけですから、不良在庫の投げ売り処分にはもってこいだといえます。

優秀だといわれるドゥクラッセの通販サイトでも不良在庫と思しき商品が投げ売りされています。たとえば、バーガンディー色の夏用ジャケットです。年配男性には赤系の色が不評だったのでしょうか。12000円くらいの定価が3450円にまで値下げされています。

赤系でも苦にならない人ならお買い得です。

また、アダストリアホールディングスのドットエスティというサイトは、使い勝手が良くて当方も愛用しているのですが、常に「シークレットセール」「タイムセール」「500円引きチケットの配布」などが行われています。

今年の春夏だけを見ても3月から7月まで毎月これらが行われています。

当然、去年物の処分品もありますが、今春夏の新作がほとんどです。

 

これらを上手く活用できれば、洋服という商品は定価で買う必要がまったくないのです。

 

各アパレルは、ネット通販の強化こそが自社の業績回復に役立つと確信しているように感じられますが、果たしてそうでしょうか。

もちろん、ネット通販は必要不可欠な販路になっていることは言うまでもありません。

 

しかし、ネット通販が普及すればするほど、消費者は常に値引き品を手に入れることができるようになります。すでに現在でも毎日、値引きされた服を買うことができるのです。

定価販売の強化とネット販売の強化の二つを掲げるアパレルは多いのですが、はっきり言って、両立は不可能です。絶対に砕けない盾とすべてを貫く矛みたいなものです。

ネット通販が普及すればするほど、服を定価で売ることは難しくなっています。

 

 

 

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南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

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