ブランド・ビジネス  2019-07-15

デザイン業界と苦戦する製造加工場との共通点とは?

先日、セメントプロデュースデザインの金谷勉社長と、オールユアーズの企画を一手に担う原康人さんとの初顔合わせのセッティングを行いました。

以前から、相当に話が合うだろうなと思っていたのですが、想像通りに話が弾み、2時間近くがあっという間に過ぎました。

 

セメントプロデュースデザインは、元々はデザイン会社ですが、今は雑貨や家具などの製造加工場の製品プロデュースを行っています。

オールユアーズの原康人さんの商品企画の特徴は、素材段階からの開発と、一般に広く認知されていない素材の特性に改めて脚光を浴びさせることにあります。

 

例えば、オールユアーズには「色落ちしない黒いズボン」という商品があります。通常の綿素材主体の黒ズボンは、何度か洗濯を繰り返すと確実に色あせてきます。また、茶褐色に変色してきます。しかし、この商品は洗濯を繰り返しても、漂白剤をぶっかけても色落ちしません。どうしてでしょうか?

答えは簡単です。

 

 

 

 

 

ポリエステル100%の生地だからです。

 

ポリエステルの特性は、

1、色落ちしない

2、軽い

3、劣化しにくい

です。

ですから、ポリエステル100%素材の服は色落ちしないのです。簡単な理屈です。繊維に携わる人ならだれでも知っています。

 

しかし、その特性を生かした商品作りはあまりされていません。

それよりも、ポリエステルは安価なので、「ポリエステル=安物」という構図にかまけて、ポリエステルの価値を真剣に追求している企画担当者はジーンズカジュアル分野(スポーツや肌着は別)においてほとんど見られません。

案の定、発売当初はジーンズカジュアル分野の人たちからは「色落ちしないのは当たり前やろ」と言われたそうですが、その「当たり前」の機能をジーンズカジュアル各社は大衆に周知してこなかったのです。

 

 

そんなお二人が共通して挙げていたのが、「現在苦しんでいる工場や産地の共通点」です。

繊維や雑貨、耐久財などの分野に関係なく、現在苦しんでいる製造加工業の共通点は、

 

「かつて、大手ブランドからの大量発注の下請けをこなしていたこと」

 

にあるそうです。

大手からの大量受注ががっつりと入って、それを下請けとして黙々とこなしてきた製造加工業です。

 

以前はその大量受注で経営ができていましたが、30年くらい前から製造加工業の拠点が国内から中国へ移されました。そしてその中国でも製造加工業は減っており、拠点は東南アジアに移されようとしています。

 

これまでは何の工夫もなく大量受注をこなすだけで良かったので、そういう製造加工業は独自の工夫を凝らせないままに今に至っています。

 

そして、これはちょっとびっくりしたのですが、セメントプロデュースデザインの金谷社長から

 

実はデザイン業界自体がそういう製造加工業と同じ構造なんですよ

 

という驚きの言葉が飛び出しました。

 

なぜなら、デザイン業界もほとんどが電通・博報堂という超大手の下請け企業ばかりだからだそうです。いわれてみれば確かにそうですよね。電通・博報堂・アサツーディケイなどを経由せずに独自に大きな仕事をしているデザイン会社はほとんど見たことがありません。

まさしく灯台下暗しです。

 

デザイン業界というと一般的には「最先端」「ハイセンス」業界と思われがちですが、実は典型的な下請け製造加工業と同じなのです。

これはアパレル業界にも同じことが言えます。「最先端」「ハイセンス」と思われがちですが、実はいまだにファックスを多用するようなアナログな業界です。

 

日暮れて途遠しですね。

 

SHARE

  • FacebookFacebook
  • TwitterTwitter
  • Google+Google+
  • LINELINE
南充浩
WRITER

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter
FOLLOW
  • Facebook
  • Twitter

1970年生まれ。大学卒業後、量販店系衣料品販売チェーン店に入社、97年に繊維業界新聞記者となる。2003年退職後、Tシャツアパレルメーカーの広報、雑誌編集、大型展示会主催会社の営業、ファッション専門学校の広報を経て独立。現在、フリーランスの繊維業界ライター、広報アドバイザーなどを務める。 2010年秋から開始した「繊維業界ブログ」は現在、月間15万PVを集めるまでに読者数が増えた。2010年12月から産地生地販売会「テキスタイル・マルシェ」主催事務局。 日経ビジネスオンライン、東洋経済別冊、週刊エコノミスト、WWD、Senken-h(繊研新聞アッシュ)、モノ批評雑誌月刊monoqlo、などに寄稿 【オフィシャルブログ

COMMUNICATION

Leave a Comment

SPECIAL 
JOURNALS

BY UP&COMING EDITOR

MORE

CHIEF 
EDITOR’S

BY CHIEF EDITOR

MORE

ランキング