フルフィルメント  2018-12-18

サザビーリーグのweb戦略から見るモールのメリットとデメリット

ブランド毎に異なるECプラットフォームを活用 事業戦略に寄り添ったサザビーリーグ式EC運営とは

サザビーリーグには「EC化率何%達成」のような経営目標がなくて、各ブランドが立てる事業戦略に沿ってEC化するかどうか考えなさい、ということになっています。Ron Herman(ロンハーマン)のようにECサイトを持っていないブランドも一部ありますが、それはそのブランドの戦略なので、無理にEC化へ引っ張っていくような全社的な方針はありません。そういった背景があるので、ARTIDA OUDに「ブランドを通してサザビーリーグのEC化率を上げる」という目標もないんです。デジタルシフトするマーケットに対して我々サザビーリーグはどういうやり方ができるか、と考えて始めたチャネル開発の形が、ARTIDA OUDです。

 

サザビーリーグのD2Cジュエリーブランド「ARTIDA OUD(アルティーダ ウード)」が計画通りに進行。計画通りがどの程度かは分かり兼ねますが、ブランド力が必要になるジュエリーブランドがオンライン専業である程度売上を作れているとしたら驚きです。サザビーリーグ内のその他のブランド顧客名簿は活用していると予測しますが、価格帯も3〜5万円と、D2Cブランドの中でもかなり高い部類です。サザビーリーグはモールを活用せずブランドごとでの世界観を大事にしているようですが、こういった際大きなデメリットも存在するのです。

 

モールのメリット

マルチブランド戦略をとってる企業からすると、メリットが大きい自社ECモールは必須でやりたいところでしょう。メリットとしてあげられる点は、

 

・顧客リストの統合
・SKU数
・コンテンツ量

 

の3点がメインでしょうか。

 

・顧客リストの統合
1ブランドだけでは顧客が少なかったとしても、ブランドを横断する事でリストが倍増します。そうなると違うブランドの顧客にも見てもらえるチャンスが増え、企業としては売上を最大化する事が可能になります。新規ブランドだとまだまだ店頭カスタマーが少ないのですが、他ブランドの顧客へ認知を促したり、そこから購入に至ったり、またシェアしてもらったりという効果も期待できます。アパレル企業の一番の財産って顧客リストなので、それを共有し有効活用する際にモール化って効率が非常に良いのです。

 

・SKU数
単純に商品点数多いとページも増えるし、キーワードも多くなるのでSEOで有利に働きます。モール化していますと、各ブランドのドメインに分散されず、サイトの強化が図りやすいのです。

 

・コンテンツ量
上記のSKU数と似ていますが、こちらもブランド1つ1つのコンテンツ量が少なくても、モール化すると急激に増やす事も可能です。スタッフコーデやスタッフブログなんかはその最たるものですね。店舗が多ければ多いほど、このコンテンツ量は増えていきますのでモールの方がコンテンツマーケティングも強化しやすくなります。

 

デメリットはあるのか?

サザビーリーグが自社ECモール「サザビーリーグオンラインストア」を終了

 

そんなメリットだらけのモールですが、サザビーはこれを早い段階でやめてしまっています。理由は文中に記載のある一文が全てを表しているでしょう。

 

今回のリニューアルによって、ブランド個別の世界観をこれまで以上に表現し、よりユーザーの利便性向上を目指したブランド別オンラインストアを3月30日から順次開設する。

 

モールって様々なブランドを横断するので、サイトのトンマナが無味無臭になりやすい。ゾゾタウンなんかは良い例でしょう。ブランドが増えれば増えるほど、そこに対応すべく当然そうなるのはわかります。しかし、ブランドは「世界観」や「濃さ」がロイヤルティを向上させる要素なのも事実です。この相反する問題を解決する術はなく、どちらを選ぶかはまさに企業の方針によるでしょう。

 

 

1点、モール化で考えなければならないとしたら、「モールとしての体験価値」でしょうか。各ブランドを横断する際、ブランドとしてのページとモールとしてのページに分けられる事があります。例えば下記が良い例でしょう。

 

・モールのトップ

[.st](ドットエスティ)| 

・各ブランドトップ(ローリーズファーム)

[公式]ローリーズファーム (LOWRYS FARM)

 

 

上記はアダストリアの自社モール「ドットエスティ」です。モールのトップ直下に特集コンテンツがあります。ドットエスティの場合、25ブランドを統括するドットエスティはブランドのキュレーターでなければなりません。「どのブランドのどのアイテムやスタイルがオススメなのか?」や、「ブランドを横断してもどういった組み合わせができるのか?」など、モール独自の付加価値を提供する事こそがモールとしてのブランディングに繋がります。これはこれで大変なお仕事が増えるので、モール化しない方が組織としては業務は簡素化されるのではないかと思います。個人的には、ゾゾやアマゾンのようなプラットフォマーは力が強すぎる上に独自の経済圏を持っている為、自社は自社で経済圏をどんどん広げていく方が売上は安定していくのではないかとは思っていますが…。

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深地 雅也
WRITER

株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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株式会社StylePicks CEO。ECサイト構築・運用・コンサルティング、リテールのソリューション事業を中心に活動。並行してファッション専門学校の講師も務める。 繊研新聞にてEC関連記事連載中。→ https://senken.co.jp/posts/fukaji01

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